裏ウェブ進化論(2)―Google(試作)

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する  文春新書 (501)

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)

ウェブ進化論』や、Web2.0ミームと云うように、バーチャルな世界を語るとき、ダーウィニズム的な語彙(進化論的語彙)が使われている。それはたぶん、Webが、リアルな世界より、その進化(変化)のスピードが速く、変化を観察(把握)しやすい、と云うことだろう。

その急速なWeb進化は、リアルな世界にも影響を与えていることは、昨日「7月13日盛岡での講演資料」にも書いた。その理解に、私はキアスム図式を使っているが、その意味するところは、時代は――今も――確実に変化している、と云うことであり、それも、かつてなかった程に、急速に、と云うことだ。

昨日のキーワードは「10年」だった。しかし、これから先のことはを考えるには、「10年」は長すぎる単位かもしれない。この進化は、さらにスピードアップしてしまうだろう。それは、その進化を支えているものが情報技術だからだ。ムーアの法則宜しく、その進化のスピードは凄まじくはやい。

進化のアルゴリズムは、偶然性が機能しているが、それを蓋然性にしようとするのが人間の営みなら、技術を基盤にした今の時代の変化は、社会全体から偶然性を無くそうとする運動が、大きく姿を変えている時代とも見える。

その運動は、「科学」の成立から始まったわけだが、その合理の精神の対象が、自然から人間へ、そして人間の社会的活動の隅々まで広がり――例えば、心理学化、そしてマーケティング――、それが経済活動を支え、その流れが加速していることで、暫くは技術優位の時代が続くのだろう、と思う。

その良し悪しには、ここでは触れないが、その時代の牽引車が、今は、グーグル Googleである、ことは間違いないだろう。

私がこのサイトをブログ化した大きな理由は、記事の固定アドレス化であり、それは検索エンジンでのヒットしやすさを狙ってのことだ――と「裏ウェブ進化論―骰子一擲は続いている」には書いた――。その検索エンジンとは、勿論、Googleのことである。

Webの世界には、村八分ならぬ、「Googlle八分」と云う言葉がある。つまりGoogleに引っかからなかったら、Webの世界には居ないも同然だ、と云うことである――そこでは、つながりの偶然性もなくなってしまう――。

私が、ホームページ・ビルダーで作っていた旧サイトは、Googleではヒットしにくいものであることは、二三年前から感じていた。旧サイトでつくったもので、Googleの検索結果の一ページ目に表示されるのは、唯一「骰子一擲」だけである。

 → Googleでの、骰子一擲の検索結果

しかしこれは、最初から固定アドレスであったのであり、この結果もブログ化の効果であって――ブログ化した記事から何度かリンクを張っている――、それまでは、「Googlle八分」状態であったわけだ。

Googleは固定アドレスを好む。私がこのサイトをブログ化した理由のひとつ――全てではない――は、これなのである。そして昨日、よううやく「ももち ど ぶろぐ」にもPageRankが付いた(3/10)。つくり始めて一ヶ月にしては上出来だろう、と、こうして、すっかりGoogleの術中にはまってしまっているわけだ。(笑)

私は、Googleを、他の検索エンジンよりも信頼しているのは確かだ。それは、人手を介さないからだし、ちゃんとしたコンテンツを増やして行けば、私のような「ひねりと二分の一切断モデル」のようなブログしか書けないものにとっては、唯一の「つながりの偶然性」をもたらしてくれるものでしかない、と感じているからだ。そしてそれを担保しているのが情報技術なのである。

以上のことは、Web上で、「私」の存在を担保してくれる情報技術、という側面でGoogleについて書いたものだ。勿論これには「暗」の部分もあるが、今回はそれには触れない。

さて、『グーグル―Google』と云う本は、12日、盛岡行きのはやてに乗る前に、上野駅えきなかの本屋で購入し、盛岡駅に着くまでには読み終えていた。車上、三〇分以上は寝ていたので、正味一時間程で読み終えてしまう本だが、書かれてある内容は確りとしたものだ。

何よりも単なるGoogleを賞賛本に終わることなく、その「暗」の部分――つまり、社会全体から偶然性を無くそうとする運動のことだ――にもちゃんと触れている。

ウェブ進化論』が、情報技術――そしてそれが下支えする社会――に対する、ラディカルな信頼に溢れているとすれば、この本には、「暗」がある分、私的には救われてはいる。できれば両方読んでみることをおすすめしたい。今と云う時代の一端を窺い知ることができるだろう。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)